などです。
異性のペアは二卵性ですから卵性診断は通常同性のペアに対して行われます。
この中で、養育者の希望として問題になるのが、出産時に告げられた卵性に対する疑問です。一般には、産科において胎盤の数をもとに医師に告げられる場合が多いみたいです。しかし、胎盤の数と卵性の違いが正しく伝わらないこともかなりあります。よくある間違えは、『胎盤が二つあるから二卵性』であると言うものです。実際には、胎盤が二つに見えても一卵性の場合がかなり含まれています。従って、胎盤や卵性に関する情報はあまり安易に告げるべきではありません。
小児期双生児の身体発育・運動発達は卵性の影響を強く受けるため、誤った情報は時に大きな誤解を生むことになります。こうした養育上の問題からも客観的で正しく卵性を診断しうる情報を提供することが必要と思われます。
より確実な診断が必要な場合には、多型性に富む種々の遺伝子マーカーあるいは遺伝子DNAを利用して診断する方法が最も精度が高いものです。しかし、経済的、時間的な制限や児に対する身体的な負担から必ずしも採血による診断を要求されない場合が多くあります。また、養育者は一般に児の卵性にある程度の関心を示しても採血までは望まない場合が多いと思われます。この様な場合には採血による卵性診断が一番確実である事を説明しておけば、より簡便で負担の少ない卵性診断法でも十分に利用可能だと思われます。
以上のような背景のもと我々は、簡便で精度の高い卵性診断用質問紙票を開発し、実用に供してきました。今回、従来の質問項目に加えて、形態的特徴等に関する項目の3段階評価を考慮する事で、より効率的に卵性を判定する方法の確立を試み、児の正確な卵性と質問紙票の回答との分析から、母親からの回答は卵性を診断する上で客観的で有効な情報になりうる、と結論しました。
文献
大木秀一:簡便な質問紙による小児期双生児の卵性診断(母性衛生・第42巻4号)
大木秀一:多胎児の卵性と卵性診断、双子・三つ子・四つ子・五つ子の母子保健と育児指導のてびきp11-p15(横山美江編、医歯薬出版株式会社、東京、2000)